当時のオプション


 オプショナルパーツで車のグレーアップ化はトヨタは比較的早く、RS型が発売された頃もすぐに豊富に用意されてました。オプショナルパ-ツ満載で始めか ら標準装備された車がクラウンデラックスです。(RSD型、昭和30年12月発売)その後も色々販売され充実しました。但し当時のトヨタは販売店にもよる が、余り積極的にオプショナルパーツを販売しませんでした。何故なら、当時今の様に値引き販売は余りなく、利幅もあり、売れないと在庫を抱えるハメになる 物なので積極的ではなかった様です。此処では、特に代表的なオプションパーツの紹介を致します。当時はフォグランプを取り付けただけで、かなり贅沢な買い 物であったと云う年配ドライバーの証言もあり、フルオプショナルの車は殆ど有りませんでした。


* トヨグライド

 之はメーカーオプションです。販売店では取り付け不可です。名称の由来はトヨタで製造したオートマチックとの事でアメリカのオートマチックパワーグライ ドをトヨタのトヨを取りトヨグライドと命名されました。当時他のメーカーではマスターラインの様な商用車にオートマチックの搭載は考えられて居らず、トヨ タは敢えてマスターラインにも設定。更に当時のメーカー保障は1年又は2万キロであったが、トヨグライドはそれを過ぎても無償で修理保障しました。更にク ラウンにはトヨグライド専用のカタログも用意され、トヨグライドの普及の意気込みを感じます。これらの功績があって我が国の大半の車がオートマチック化し たのでしょう。
トヨグライド・カタログ
トヨグライド専用のカタログ

トヨグライド・カタログ内部 歴史

 我が国で初めてオートマチック車を発売したのは、スチール家具メーカーのオカムラ事岡村製作所で作られたミカサ号です。昭和32年10月の事でした。ト ヨタは昭和34年3月にマスターラインにオプショナル設定し販売。当時のクラウン RS20系には採用されず、昭和35年10月に30系にマイナーチェン ジされ初めてクラウンにもトヨグライドが搭載されました。つまり1961年式からです。他にコロナは昭和38年9月の1964年式から、パブリカは昭和 37年10月の1963年式からトヨグライド付を選択できる様になりました。蛇足だが、年配の方の中にオートマチックの車をノークラと呼ぶ方が居ますが、 之はコロナにあったノークラッチでシフト操作するサキソマットの事で昭和36年10月から38年8月販売の1962年、63年型の事です。
トヨグライド専用のカタログ内部


* カークーラー
 今で こそ軽自動車でも標準装備のカークーラー、エアコンですが、この時代はRS41、46Gそしてトヨタの最高峰VG10すらオプショナル扱いでした。
 当時のカークーラーの事情として、現在の消費税に変わる税金が、贅沢品に掛かる物品税があり、カークーラーは取得価格の10%が課税されました。又自動 車貿易自由化以前は外国製カークーラーは輸入禁止で特に1950年代の外国車なのに国産のカークーラーが付いているのはこの為でした。又当時のトップス ター石原裕次郎氏は夏場窓をフルオープンし短パン、サンダルでうちわ片手に愛車を運転していた。と云うエピソードが残されて居ります。いかに夢のまた夢か お判りでしょう。
 価格の方ですが作者の愛車の場合、トランクタイプなので約50万円、ダッシュボード下に下がるタイプが約20万円でした。(取り付け工賃込み)この位の 価格ですと、トヨタ車なら、
コロナラインシングルピックアップ(PT36)、トヨエースの3方開き(PK30-B)が共に50万円以下で買えますので1台買う様なもの他のメーカーな らマツダK360やミゼット(MP5)なら、2台買ってもお釣りが来ます。尚昭和40年になると最も高価なVG10用でも取り付け工賃込み35万円位にな ります。
 尚クラウン、コロナはそれぞれ専用品を用意したとあるが、実際は専用品を予算の都合で出来ない事もあるので、安価な汎用品を取り付ける事もあり、デン ソー製でなくても一概に非オリジナルとは言い切れません。
 当時クーラー取り付けとなると、ディーラーでも大騒ぎになり、電装職人とディーラーの工場長が共同で取り付け作業し納期まで7〜10日位かかったそうです。
クーラー吹き出し口
吹き出し口全景
クーラー吹き出し口
吹き出し口全景(室内側)
クーラー吹き出し口
吹き出し口グリルは前後に可動する。
写真はデフロスターとして使用中
クーラー本体
トランクルーム内
クーラー本体
ジュースを冷やせる冷蔵庫としても
使用できる。
クーラースイッチ
クーラースイッチ
コンプレッサー作動中は青く点灯
クーラースイッチ
クーラースイッチ
写真はデフロスターとし て使用中


*シートカバー
 老自動車内装職人の話のよると、かってのデーラーオプ ションのシートカバーは質がイマイチで内装屋にオーダーするのが常識であった。と聞きました。その 為3月の決算期ともなると、3日は寝ないで作ったそうです。トヨタのシートカバーはイマイチかどかはわかりませんが、概ね昭和40年当時4000円〜7000円位 でした。 シートカバー


* ドアバイザー
 今新車で買うと殆どが全ドアにバイザーが付けてますが、 当時は運転席だけ、前のみという注文が多かったです。種類はステンレス製、プラスチック製、混合が用意されてました。価格は940円〜1060円でした。 (1本当り) ドアバイザー


* フォグランプ
 最も多く取り付けられたオプション部品です。特に昭和 40年代に流行りました。クラウン用で2700円でした。之を付けただけで贅沢気分となれば、フルオプション車は大変な金額になりますね。 フォグランプ


* ハンドルカバー
 車種によりハンドル径が違うので気をつけなければならな いが、トヨタ用でも他のメーカーの車種にも適用車種名が記載されてました。サイズ問わず、380円でした。 ハンドルカバー


* オートラジオ、クロック、カー ヒーター、ウインドーウオッシャー

 之は、スタンダード型が取り付けになるが、オートラジオはRS41型とは異なり、チューナーのないタイプを取り付けます。価格は19500円、 (RS41型は32000円)アンテナは1400円(RS41型は7700円)、クロックは5700円、カーヒーターは、専用品は21300円(RS41 型と共通)汎用品は16530円、ウインドーウオッシャーは3200円です。カークーラーと同様これも予算によって安価な物も買えるので違うパーツが付い て居ても非オリジナルとは一概に云えません。


* オートディーマー
 対向車のライトの光に反応して、自動的にライトを上げ下 げするスイッチです。価格は6900円でした。 オートディーマー


*ステアリングダンパー
 これは、ハンドルのブレ止め。なんて事ない、一本の ショックアブソーバーが付くのだが、車の直進性の向上には欠かせません。大変優れたパーツなのです が、存在がパーツリストにのみ書かれ、カタログ等には一切記載されず、昭和40年6月生産の車をもち姿をけしました。価格は不明。
 実際作者の愛車に取り付けていますが、バイアスタイヤであるが、全くふらつかず手放し運転しても真っ直ぐ走ります。最近の車にもオプションで取り付け設 定する物もあるが、販売打ち切りが多いと聞きます。もったいない話ですね。 
ステアリングダンパー


*クールファン
 カークーラーの所でも説明したが、カークーラーは当時非常に高価でかつ当時の大スターとておいそれ手が出せない代物でした。
 そこでせめて気分だけでもクーラーを味わうには・・・と考えられ発売されたのがこの「クールファン」です。つまりダッシュタイプクーラーの形をした自動車用扇風機です。当時15000円位でした。
 40系クラウン用の部品でなくクーラーの取り付けが不可能なパブリカや360cc軽自動車向けですが、クーラー取り付け可能な車にも付けていた事例も多く見られました。
 風量は比較的強く夏場三角窓プラスクールファンで充分涼しいです。
 作者の場合平成19年の夏、余りの暑さに音を上げ後ろからのトランククーラーの冷風に扇風機が有ればどれだけ涼しくなるだろうと思い、探していたらたまたま出てきました。又RS41のカーヒーターは強いので少しぬるめにする為にも重宝します。
クールファン クールファン

*ハザードスイッチ(社外キット)
 ハザードスイッチは昭和44年4月1日に装備が義務化されました。義務化以前の車を対象としてナイルス、東海理研等から発売されたキットです。
 このスイッチはブレーキペダルを踏むと点灯が止まる作りですが、そもそも設定が無い物でしたので致仕方ありません。
 但し、昭和48年12月1日よりブレーキペダルを踏んでも点灯が止まらない様、法改正され今に至ります。
 写真のキットは昭和43年に発売された物で、日産車の下請けメーカーであったナイルス製品です。当時の全メーカー車が取り付けられる様、車種毎の配線図が有りました。
ハザードスイッチ

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