トヨペットクラウンは昭和30年1月7日に発売され、33年10月にマイナーチエンジを実施しましたが、基本ボデー構造は変更無く
今日まで生産され、その累計生産台数も単一車種としては最高の記録を達成して居ります。今般シャーシ、ボデー等全般にわたってモデル・チエンジを実施し、
貿易自由化に対処する第1弾として、トヨペットクラウンデラックス、スタンダード、カスタムの3モデルを発表しました。
*貿易自由化とは、当時の国産車は欧米諸国の自動車に比べ性能が全般的に劣り手厚い保護政策下外国車に法外な関税をかけ産業育成をしていた。昭和35年
10月にトラック、バス、2輪車。昭和40年10月に乗用車が自由化されこれにより外国車と競合する事なりました。
設計の狙い
新型クラウンの設計上の狙いは、特に次の6項目を重点的なポイントとしました。
1、大人6人がゆったりと座れる事。
2、トランクのスペースを大きくする事。
3、乗り心地が格段に優れている事。
4、高速性能の優れている事。即ち
・長時間100km/h以上のスピードで連続走行が出来る事。
・高速での旋回時の操向性能の優れている事。
5、一方悪路に十分適応性を持っている事。即ち
・悪路をかなりのスピードで走れること
・悪路にも充分耐久性を持っている事
6、輸出にも充分可能である事。
この6項目が設計上特に留意された点です。
以上の要求を満足させるに当りホイールベースを2,530mmから小型車の規格一杯に近い2,690mmと160ミリメートルも長くして、室内を広く、乗
り心地を良好な物としました。全長も200mm長くトランクルームの容積」を40%も大きくしてます。そして乗り心地もよく、しかも耐久性を持たすため、
独特のX型フレームと弾性支持方式のボデーを採用し、サスペンションも新設計の物としました。之により、最低地上高をある程度確保した上に全高を70mm
も下げることが出来、前述の高速性能、及び悪路に対する適応性といった、一見相反する要求を完全に満たしてます。
車種と車両型式
車種としてはスタンダードタイプのRS40(よんまる)型車、デラックスタイプのRS41(よんいち)型車、とワゴンタイプのRS46G(よんろく)型車
の3種類でこの各々にオプショナルとしてトヨグライドを装着した車があって合計6車種になります。
形式 |
車名 |
エンジン |
トランスミッション |
デファレンシャル |
備考 |
RS40 |
トヨペット
クラウン |
3R-B |
3速シンクロ |
4.375 |
スタンダード仕様 |
RS40-C |
3R |
トヨグライド |
RS41 |
トヨペット
クラウン
デラックス |
3速シンクロ
オーバードライブ付 |
4.875 |
デラックス仕様 |
RS-41C |
トヨグライド |
4.375 |
RS46G |
トヨペット
クラウン
カスタム |
3速シンクロ
オーバードライブ付 |
4.875 |
4ドア・ステーションワゴン
デラックス仕様に準ずる |
RS46G-C |
トヨグライド |
4.375 |
車両概要
新型クラウンは最新の流行である低く、長く、広い、見るからに安定したスタイルを持ってます。観音開きのドアを平行後開きに改め、ヘッドランプを照射性能
の高い4灯式としました。グリル、モールディング、マーク類も夫々斬新な近代感覚あふれるもので、広いラップ・アラウンド・ウインドーと相まって、いかに
もダイナミックなスピード感にあふれています。又ホイールベースで160mm、全長で200mm長く、全高は逆に70mmも低くなっているので、居住性、
乗り心地は大幅に向上しておりとランクルームも40%も大きくなっています。レッグルームも前が70mm後ろが50mmも大きくなっているので足元に余裕
があり、輸出の適応性も高くなってます。
ボデーの最も大きい特徴は、フレームレス構造でなく、独特のX型フレームを持っていることです。しかもボデー構造自体が一般のフレームレス形式のボデーと
同様の構造を持っており、それだけででも充分な強度が有る位ですが、これがX型フレームと結合されて、素晴らしい強度と剛性を有しております。またフレー
ムとの結合は、少数の大きな、厚い防振ゴムにより弾性的に支持されている為乗り心地がよく、防音、防振が完璧となっております。
この乗り心地をよくするために払われた努力は大変なものでピッチングやローリングを少なくする為前後サスペンションのばねの強さ、ショックアブソーバーの
減衰力などの組み合わせには電子計算機による解析とテストが行われました。この結果得られた乗り心地や安定性は非常に優れたもので、悪路の走行では従来の
クラウンでは追従できぬ位のスピードで走り抜く事が出来ます。
トヨペット・クラウン(RS40 スタンダード型)

※カタログより抜粋 |
RS40型車は自家用車として使用される事は勿論ですが、営業車として使用される機会が比較的多いと言う事を考慮して設計して有ります。即ち高速性能の優
れている事に加えて、特に発進、停止の回数が多いとか、悪路を走る機会が多いとかいった、いわば過酷な使用条件に適する設計がなされて居ります。尚昭和
38年5月にはLPG仕様=タクシーモデルのRS40P(77PS)を追加発売しました。
1、
エンジン |
発進・停止が多いと云う事は高速よりも低速で走行するこ
とが多いと云う事です。それで低速トルクの高い3R-B(80PS)型エンジンを使用し、ファン
を直結としてあります。又新たに冷却系統を改良して耐久性を高めました。更に高速高性能交流発電機(オルタネーター)を全面的に採用しました。この交流発
電機は従来の直流発電機と異なり発電特性が非常に良く、アイドリング時の発電のほか冬季には、自動的に発電特性が増大する様になっております。 |

※カタログより抜粋
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2、
クラッチ |
国産車で初めてダイヤフラムスプリング式クラッチを採用
しました。之は従来のコイルスプリングと異なり、放射状の円板型スプリングでプレッシャープレートを圧着したもので、この為圧着力が均一でスムーズにつな
がり、調整箇所がなく耐久力も向上し、踏力も軽くなりました。
昭和40年7月のマイナーチェンジよりRS40型のみ専用クラッチ(9インチ)が採用されました。
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※カタログより抜粋
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3、
ステアリング |
国産車で初めての機構でステアリングメインシャフトを設
けて、2ジョイント式とし、路面からのショックを緩和し、操向性能を一段と向上させました。ロ
アージョイントはゴムと強力人絹で出来たフレキシングカップリングで、アッパージョイントは軸方向の動きが出来るトラニオン型です。 |

※カタログより抜粋
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4、
サスペンション |
フロ
ントサスペンションはウィッシュボーンとコイルバネを使用した独立懸架方式ですがバネを柔らかくして乗り心地を向上させてあります。又特に上下アー
ムの角度を変えてあるので制動時の前のめりが少なくなっています。リヤサスペンションは悪路を走る機械が多いことを考慮してコンペンショナルタイプとし、
新たに非対称型の5枚リーフスプリングを採用しました。之は今春コロナ(RT20型)にも採用され、良路での乗り心地、ロードホールディングと共に悪路で
の優れた乗り心地が得られるものです。 |

※カタログより抜粋
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※カタログより抜粋
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5、
ブレーキ |
従来
と同様フロントはツーリーディング、リヤにデュオ・サーボ形式の物を用いていますが、ブレーキを使用する機会が多く、然も低速でのブレーキドラムの
冷却性能を考え、特にフロントに冷却フィン付ブレーキドラムを採用して、頻繁にブレーキを使用する場合でも制動特性の変わらない様安定化を計ってありま
す。 |

※カタログより抜粋 |

冷却フィン付ブレーキドラム
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※カタログより抜粋 |
6、ボデー関係
*ボデー本体
頑丈で振動の少ない特殊のX型フレームに曲げ、捩れ、剛性とも大幅に強いモノコック構造のボデーを、10個のマウンティングゴムで
結合してあります。し
たがって路面からの振動や騒音を吸収、乗り心地はぐんと良くなりました。
*
フレーム |
フレームはX型に近い平面形を持っており全て高張剛板を
使用した頑丈なものです。中央部の幅が狭く、両サイドに向かってフロアーを下げることが出来、乗
り降りが非常に楽になりました。 |

※カタログより抜粋
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.*
トランクルーム |
トランクルームは容積を約40%大きくしました。ゴルフ
バックも楽に縦に入ります。スペアタイヤは横置きです。 |

※カタログより抜粋 |
*ガソリンタンク
ガソリンタクは50L入りとなり、走行距離の延長を図ってあります。
*ウインドーガラス
フロントウインドーガラスは約25%%、リヤウィンドーガラスは約8%面積を増大し、特にフロントはこのクラス唯一の安全合わせガラスを使用しており万
一の場合でもガラスが飛び散らず安心です。(合わせガラスは昭和33年10月発売のRS20系から使用されております。尚昭和39年8月のマイナーチェン
ジの時部分合わせガラス=ゾーンライトに変更しコストダウン化しました。)
*ワイパーブレード
平行に動くダンデム式とし、払拭面積を約55%も広くして、雨天走行時の視野を大きくしました。
*カウルベンチレーター
カウルの上方より入った風を、左右の通風口より室内に導き、雨中でも水が入りません。
*
ベンチレーターウインドー |
走行中の開閉を容易にし、盗難に対して安全なウオームギ
ヤ式を採用しました。 |
 |
*室内
シート、ペダル、スイッチ、計器類の配置は人間工学的に充分検討されて決定してあります。シートはSバネとフォームラバーを併用したクッションのいいも
のです。
*コンビネーションメーター
スピードメーターと電流計、燃料計、水温計、油圧計の4つの計器、及び積算計が大きいプラスチックのフードで覆われています。
*
灰皿 |
灰皿はシガレットライターと一緒になっており、格納時に
ゴムの蓋が密着して、直ちに火が消える様になっています。 |
 |
*
ルームランプ |
ルームランプは天井の中央に円形のスマートな物を取り付
けてあります。3段階に作動し、前後のシートから操作できます。 |
 |
*ステアリングハンドル
ステアリングハンドルは扱いやすく安全なコーン型でスポークの付け根部分にギザをつけてあります。
*
内装 |
全般的にビニールレザーパットを用いた明るく柔らかな感
触です。インストルメントパネルの上部、ドア及びピラーバイザードアーアームレスト等も柔らかな
材料を用いて、万が一の場合の安全性を考慮してあります。 |

※カタログより抜粋 |
RS40-C型車
RS40型車のトランスミッションをトヨグライドに変えエンジンを3R型(90PS)に変更したものです。之はトルコンバーターの特性が普通のトランス
ミッションと異なりエンジンの高速回転域を有効に生かす事が出来るからです。
トヨペット・クラウン デラックス(RS41)
RS41型はRS40型のデラックスタイプで、営業車とし
ては、一部はイヤーとして使われるほかは、オーナードライバー、会社、官公庁で使用される機会が
殆どです。この様な場合は比較的良路を長距離走行することが多いので、エンジン、トランスミッション、サスペンション等を変更して、高速性能をより重視
し、居住性を一段と向上してあります。RS40型車との相違点を挙げます。 |
 |
1、
エンジン |
比較
的高速で連続走行する機会が多いと云う事から、高速トルクの高い3R型 90PSエンジンを使用してあります。冷却ファンは高
速走行による自然通風が期待できる事からファンの回転をコントロールして騒音を減少する、サイレントファン(右下図)が使用されてます。 |

※カタログより抜粋 |

※カタログより抜粋 |
2、
トランスミッション |
以上
のように高速で連続走行する場合は力よりもスピード
が要求されます。それで通常のミッションの後ろにオーバードライブを装備し
てプロペラシャフトの回転を半自動的に上げて、スピードを向上し、燃費と騒音の減少に焼く立たせています。 |
 |

※カタログより抜粋 |
3、デファレンシャル
オーバードライブの装備に伴って、デファレンシャルの減速比を4.375より4.875と大きくして、加速、登坂力を一段と向上さ
せてあります。
4、
サスペンション |
フロ
ントサスペンションの形式はRS40型と同じですが、荷重の相違からバネをRS40型とは異なった長い物としてあります。リヤサスペンションはコイ
ルスプリングを使用したトレーリング式で乗り心地を良くするとともに、高速走行時の走行安定を向上させてあります。之は2本のロアーアーム、それに横方向
の動きを規制する、ラテラルロッドの4本のリンクによってアクスルを支えているので、やわらかい乗り心地と素晴らしいロードホールディングを発揮するもの
です。 |

※カタログより抜粋 |

※カタログより抜粋 |
5、ブレーキ
ブレーキも通風による自然冷却が期待出来る事から、特に冷却フィンでなく普通のドラムを用いました。
6、ボデー関係
*
フレーム |
リヤサスペンションがRS40と違うので後部の形状とマ
ウンティングゴムの箇所が異なり8箇所で弾性支持をしています。 |

※カタログより抜粋 |
*ウインドーガラス
安全合わせガラスであるのはRS40と同じですが、青色熱線吸収ガラスを用いています。
*
トランクルーム |
スペアタイヤを右側に縦置とし、プリントマットを一面に
張ってあります。
スペアタイヤを外すと純正工具類が収納されています。
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 |
*
内装 |
内装
シートの表張りはファブリック(西陣織)を用い、フロントシート、リヤシート共アームレストを設けました。その他フロアー等も一段と豪華な物を用い
てあります。 |
|
※カタログより抜粋 |
*
アンダーパネル |
メーターパネルの下にアンダーパネルを設け各種補機類の
スイッチを集め、扱いやすくすると共に其の左側にアンダートレーを設け手回り品を置ける様にしま
した。 |

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7、補機関係
*
コンビネーションメーター |
トリップメーターを新設し、1日の走行距離や区間の走行
距離が一目で判る様にしたほか、オーバードライブインディケーターランプが付いています。 |
 |
*
オートラジオ |
*オートクロック |
オートラジオは電子頭脳が自動選曲する、サーチチュー
ナー式となりアンテナはパワーアンテナです。スイッチはアンダーパネルに装置され、パワーアンテナ
と共用です。 |
リヤシートから見やすいようインストルメントパネル上中
央部に設けました。 |
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*
カーヒーター |
外気導入式で一段と性能を高めリヤフロアーにも直接温風
を吹き出させて、全体の温度分布を良くしました。 |

※カタログより抜粋 |
*ウインドーウオッシャー |
 |
ボンネットの中央にノズルを備え、ワイパースイッチを回
転(右へ)させ操作します。 |
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 |
*
インサイドバックミラー |
フロントウインドーガラスに接着してありますから振動が
なく映像が鮮明です。尚この方式のミラーはRS41、46Gが国内最初となります。 |
 |
*
アウトサイドミラー |
フロントフエンダー前部両側に取り付けました。
(注、昭和38年までアウトサイドミラーは取り付け義務がなく、スタンダード等はオプション扱いでした。)
|
*オプション
カークーラーやリヤウインドーの曇りを取るリヤデミスターを装着する事ができます。
8、意匠関係
ラジエターグリル派豪華で、2本のループ式サイドモールディング、ウインドーモールディング、ルーフトリップモールディングドリップモールディング、リ
ヤトランクオーナメント、パネルモールディング等の内部装飾が付きます。
RS41-C型車
トランスミッションをトヨグライドに変え、デファレンシャルの減速比を4,375に変更したものです。ラジエターグリルとリヤオーナメントに
「Toyoglido」のマークが付きます。
トヨペット・クラウン カスタム(RS46G)

※カタログより抜粋 |
RS46G型車は、RS41型車の豪華仕様を持った云わばクラウンデラックスのステーションワゴンとも云うべき型ですが、ステーションワゴンとしての使
用条件を考慮して、リヤサスペンションと内装を一部変更してあります。即ち荷物を積む機会が多く、又狩猟、釣、ゴルフ、と云った用途に使う場合の道路条件
を考慮して、リヤサスペンションをコンペンションナルなリーフスプリングとしました。内張りは汚れた荷物を積んでも直ぐ落ちるようビニールレザーとファブ
リックの特徴を兼ね備えたハイブレスと呼ぶ特殊な生地を使用してあります。こうした車の性格を考えて、名称もクラウンカスタムとしました。以下RS41型
との相違点を挙げて説明します。
1、エンジン
トランスミッション、デファレンシャル等駆動系統、及びアクセサリー関係は全てRS41型と同一であります。
2、ボデー関係
*ボデー
リヤシートの後ろに広い」荷物スペース(985mm×1,330mm)がありリヤシートを畳めば大きなスペース(1,925mm×1,330mm)が得
られます。スキー、ゴルフ、釣等の道具も楽に入り多人数の長距離旅行に最適であり、キャンプでは寝台の変わりにもなります。
*フレーム
フレームの形状がRS40型、RS41型とも異なった形をとりマウンティングの箇所も変えに持つ積んだ場合に備え10箇所で弾性支持をしています。
*ウインドーガラス
フロントウインドーが合わせガラスです。但しRS41型の様な青色熱線吸収ではないが、昭和38年9月のマイナーチエンジでRS41型と同じガラスに変
更されます。
*テールゲート
テールゲートガラスは電動式によるパワーウインドーレギュレターを採用し、更に運転席にリモートコントロールスイッチを設けてあります。
*内張り
シートの表張りはハイブレスと呼ぶ新製品を使用しています。これは、基布の上にビニールコーティングしたもので、通常のビニールレザーと異なり通気性が
あります。汚れにくく、又汚れが付いてもファブリックと異なり、落とすのが容易です。昭和39年8月のマイナーチエンジよりファブリックのシートに変更さ
れました。
RS46G-C型車
トランスミッションをトヨグライドに変えデファレンシャルの減速比を4.875より4.375に変更した物です。ラジエターグリルにToyoglidの
マークがつきます。
クラウン・カラーバリエーション
クラウン
外部塗装 |
メリディアン ブルー |
ローマン ブロンズ |
ウッドミスト グ
レー |
シーフォーム ブルー |
ブラック |
クラウン・デラックス
外部塗装 |
アドリヤ ブルー メタリック |
インペリアル マルーン メタリック |
トスカナ オリーブ メタリック |
キャッスル グレー メタリック |
コロシアム ベージ
メタリック |
ブラック |
ドロミティ グレー メタリック
※昭和38年9月追加 |
クラウン・カスタム
外部塗装 |
トスカナ オリーブ メタリック |
コロシアム ベージ
メタリック |
以上1962年9月に発売直前に販売店に配布された、新型クラウンの概要と特徴を丸写しし一部加筆したものです。次からは作者が資料
等をまとめたものを書
きます。
トヨペット・クラウン オーナースペシャル(RS41-B)

※カタログより抜粋 |
昭和40年(1965年)7月大掛かりなマイナーチェンジが実施されました。同時により多くのユーザーにクラウンに乗って貰いたい、もっと手軽に乗って貰
いたい、デラックスは手が届かないが、スタンダードでは物足りない、その様な目的からこのグレードが新設定されました。
ユーザーの多くは幹部クラスのサラリーマン、個人タクシーでした。又2007年1月から3月までTBS系ドラマ「華麗なる一族」で主演の木村拓哉氏が
乗った車は昭和42年式のこのタイプのクラウンです。(当時この様な階級の人々が乗る事は先ずなく、デラックス又は後で書くクラウン8と云うモデルです)
1、エンジン、トランスミッション
RS40型と同じで、デファレンシャルも同じです。又オーバードライブも付きません。
2、ボデー関係
*ボデー
RS41型と同じです。又サスペンション、フレームも同じになります。
*内装
シートはビニールレザーでスタンダード型より縫い目が多いです。又インサイドバックミラーはRS40型と同様吊り下げ式のタイプです。カーヒーター、
オートラジオ、クロック、ウインドーウオッシャーはオプショナル扱いです。
*外装
ウインドーモールディングはフロントは初期型から共通で、リヤは旧型(昭和40年年6月以前)のモールディングと共通です。ホイールカバーは旧型のスタ
ンダード型と共通です。
*ウインドーガラス
RS40型と同じですが、昭和39年8月のマイナーチェンジで部分合わせガラス(ゾーンライト)に変更したのでフロントガラスは合わせガラスではありま
せん。
RS41−BC型車
RS41C型車と同じです。
マスターライン シリーズ(RS46系)

※カタログより抜粋 |
昭和30年1月7日にクラウン発売と同時に姉妹車マスター(RR)を発売しました。この車はタクシーユーズを中心としておりフレーム、足回りはトラック
と同じ物でした。悪路に耐え得る様頑丈一点張りで作られました。
何故タクシーユーズ用なんて設定したのでしょうか?之は推測に過ぎないが、当時乗用車の大半のユーザーはタクシー業者で悪路をかなり荒っぽく飛ばし余り
の荒々しさに大東亜戦争(太平洋戦争)の時の無謀な神風特攻隊の様な運転から、神風タクシーと呼ばれたドライバーも多く彼らに運転されたら直ぐに壊れ「弱
い車クラウン」のレッテルを貼られ販売に悪影響を及ぼすのでマスターを用意した様です。
実際クラウンは彼ら神風タクシーの無謀な運転に耐え、クラウンは好評となり次第に頑丈一点張りのマスターは売れなくなり31年12月に7,403台を販
売し終了。折角作った生産ラインなので、このままではもったいない。そこで商用車として販売しょうとなり、マスターの顔をベースにライトバン、シングル
ピックアップ、ダブルピックアップを用意し販売したら、羽振りのいい商店主に好評で(当時一般ユーザーの中心は商用車であった。)トヨタのお約束、商用車
のネーミングは乗用車ベースなら語尾にラインをつけることになって居り、マスターラインと命名され販売されました。昭和34年2月にはマスターラインもマ
イナーチエンジに当りクラウンのスタンダードをベースにする事になり、2代目クラウンにも引き継がれましたが、当時分社化されていた、トヨタ自動車販売
(昭和57年に工業と合併しトヨタ自動車(株)になる。)より、クラウンの顔をして、マスターラインと別の名前で販売する事は煩わしいと主張。昭和42年
9月に3代目にも出るチェンジした時マスターラインの名称は廃止されました。
1、エンジン
エンジン、トランスミッションはRS40型と同じです。
2、ボデー
バリエーションにライトバン、シングルピックアップ、ダブルピックアップの3種類が用意されました。最大積載量はライトバンが、6
人乗車で400キロ、3人乗車で500キロ
シングルピックアップは750キロ、ダブルピックアップは500キロです。ベースは40年6月までがRS40型、それ以降はRS41-B型になってます。
*サスペンションはRS40型と同じですが、商用車の為硬い頑丈なバネを使用してます。又クラウンカスタムとマスターラインライトバンは同一フレームです
が、バネの硬度は違い、クラウンカスタムはRS40型と同一です。
*フレームライトバンはマウンテイングが10箇所、シングルピックアップが14箇所、ダブルピックアップが12箇所となってます。
*ウインドーガラスは全て強化ガラスです。合わせガラスはありません。
*カーヒーター、オートラジオ、クロック、ウインドーウオッシャー、そしてホワイトリボンタイヤはオプショナルです。
RS46-C型車
マスターラインシリーズは全シリーズトヨグライドを装着できます。RS40Cと同一です。
クラウン8(エイト、VG10型)

※カタログより抜粋 |
之はクラウンの名前を使っていますが、RS40系とは全く関係ないです。又車名もトヨタですので、むしろセンチュリーの初代モデルと考えるべきモデルで
す。昭和38年10月に第10回全日本自動車ショー(翌39年より東京モーターショーに名称変更)が開催され其の時参考出品されました。
昭和34年東京でオリンピックが正式開催が決定され、国民の所得の水準も向上し、少しづつ豊かになり国産フルサイズでは物足りない人も現れ、国産車にと
どまらせるには、3ナンバー車の開発は不可欠でした。(3ナンバーが設定された本当の理由は金持ち=ワルの図式があり、金持ちからなるべく多くの税金を取
り立てる為設定された。平成元年3月31日まで3ナンバーは5ナンバーの2倍ほどの税金であった。)そこで白羽の矢が刺さったのが、クラウンデラックスで
全幅が15センチ、全長が11センチ大きく伸ばす事になりました。
エンジンはオールアルミのV8エンジン。2,574cc、115psをだしました。そんなエンジンですが、3Rエンジンより23キロも軽くトランスミッ
ションはトヨグライドのみです。但し40年7月のマイナーチエンジで4速トランスミッション車を追加発売。グレード名はなく、単体となっています。
ライバル車はやはり同じ目的で作られたプレジデントの初代モデルに当る日産セドリックスッペシャル(K50型)、プリンス自動車工業のグランドルロリア
(S44P)ですが、それよりも欧米諸国の高級車がライバルだった様です。
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